ZEROTRY

chip · ZEROTRY Custom Silicon / NFC + UHF · sky130

次世代
RFIDチップ。

ZEROTRY が SkyWater 130 nm Open PDK 上で開発する次世代パッシブ RFID 集積回路。13.56 MHz NFC の chip-01、860–960 MHz UHF と自社開発の高誘電率薄膜 HIDF を組み合わせる chip-uhf の 2 系統で展開する。

SCROLL

RFID タグは、年間 1,500 億個 製造されている。
その UHF 帯 IC の大半は、数社の供給 に依存している。 RFID Atlas 2024 / Impinj 2024 Annual Report

§01  Overview

RFID チップの
定義と射程。

What this chip is, and where it sits.

RFID チップは、リーダーが発する電磁界からエネルギーを取り出して起動し、内部に書き込まれた識別子を電波で返送するパッシブ集積回路である。電池を内蔵せず、外部配線も持たない。交通系 IC カードや非接触決済の内部で動作しているのが、この種のチップである。

chip は、このチップを ZEROTRY 社内で設計する。アナログフロントエンド (アンテナ整合・整流・LDO・クロック抽出)、デジタルプロトコル処理 (ISO 14443-A / EPC Gen2v3)、物理レイアウト (sky130) の全工程を一社で扱う。汎用 IC では到達できない領域、すなわち 金属面・液体近接環境 および 1 円単位のコスト構造 を、IC と素材の共設計によって取りに行くための前提として、設計を内製化している。

動作の構成を見る
§02 · Operation

受電 / 復調 / 後方散乱応答。

The three operations of a passive RFID IC.

01 — HARVEST

電力ハーベスト

13.56 MHz (NFC) または 860–960 MHz (UHF) の搬送波をアンテナで受信し、Dickson 整流回路で直流に変換、LDO で 1.2 V ± 5% に安定化する。利用可能電力 30 µW 以下。

02 — DEMODULATE

受信・復調

ASK 包絡線検出と Modified Miller デコーダにより、リーダーから到来するコマンド (REQA / ANTICOLLISION / SELECT) をビット列に復元、デジタル FSM へ渡す。

03 — BACKSCATTER

負荷変調による応答

UID と CRC_A を Manchester 符号化し、fc/16 (847.5 kHz) サブキャリアでアンテナ負荷を変調する。リーダーは反射波の振幅変動として応答を取得する。

7 ブロック構成の詳細
§03 · Constraints

RFID 市場の3 つの構造的制約。

Three structural constraints that have stalled the market.

CONSTRAINT · 01 ¥1.5Tannual

供給寡占

RFID 市場規模は年間 1.5 兆円規模に達するが、UHF 帯タグ IC の供給は Impinj 社をはじめ数社に集中している。新規 IC 設計の参入障壁が高く、識別子コストの低下圧力が市場内部に発生しにくい。

CONSTRAINT · 02 0cm

金属面・液体近接の物理

汎用 RFID タグを金属面に直接貼付すると、鏡像効果によって電界が打ち消され、読取距離が事実上 0 cm まで低下する。液体・生体近接も同様の損失を生じる。アンテナと金属面の絶縁構造を素材レベルで設計しない限り、回避は困難である。

CONSTRAINT · 03 ¥26per unit

既存タグの製造原価下限

既存の金属対応 RFID タグは、アルミエッチング・発泡スペーサ・ACF 実装の積層構造により、製造原価が 1 枚あたり 20–30 円水準で下げ止まっている。この構造を維持したままでは、識別子の用途は資産管理など高単価領域に限定される。

§04 · Product line

2 製品でHF と UHF を分担する。

Two ICs across two frequency bands.

chip-01 · HF / NFC

chip-01

13.56 MHz · ISO/IEC 14443-3 Type A 準拠

スマートフォン NFC リーダーが対象の近接読取 (数 cm) 向けチップ。チケッティング・真贋判定・小売 POS 等の用途を想定。32 bit UID 返送の最小サブセットから着手し、CRC・アンチコリジョン・拡張 UID へ段階拡張する。MIT ライセンス公開を前提に設計を進める、オープンソース NFC IC である。

ISO 14443-A 13.56 MHz ≤ 30 μW ≤ 1 mm²
chip-uhf · UHF / EPC Gen2v3

chip-uhf

860–960 MHz · 高誘電率薄膜 HIDF と共設計

グローバル UHF 帯 (860–960 MHz) で動作するパッシブ IC。Low-Q 広帯域整合・デジタル可変容量・電圧駆動型整流を組み合わせ、自社開発の HIDF 薄膜と共設計することで、汎用 UHF タグでは困難な金属面・液体近接読取を狙う。読取感度の初期目標は −24 dBm。

EPC Gen2v3 860–960 MHz −24 dBm HIDF co-design
§05  Material

高誘電率薄膜
HIDF。

High-permittivity Dielectric Isolation Film.

UHF 帯において金属面の読取距離が低下する原因は、金属表面での鏡像効果がアンテナの電界を相殺するためである。既存の金属対応タグはこの問題を、発泡材によりタグと金属を物理的に離隔することで回避しているが、結果として 5 mm 以上の厚みと、1 枚あたり 20–30 円の製造原価が下限となる。

chip では、アンテナと金属の間に挿入する 高誘電率薄膜 (HIDF) を内製する方針を採る。設計指針は d × √εr ≥ λ₀ / 40 ≈ 8.15 mm (920 MHz)。εr ≈ 50 で d ≈ 1 mm、εr ≈ 300 で d ≈ 0.5 mm まで薄化できる計算となる。

chip-uhf の IC 側は、HIDF が形成するアンテナインピーダンスに合わせて Low-Q 広帯域整合とデジタル可変容量 (DTC) を備えた設計とする。素材と IC を同時に設計する ことで、汎用 IC + 既製誘電体の組み合わせでは届かない動作点 — 金属面・液体近接環境での実用的な読取距離 — を取りに行く。

不等式と材料設計の詳細
§06 · Open Source Stack

オープンソース
半導体スタック上で開発する。

Designed entirely on the open-source semiconductor stack.

chip は、SkyWater 130 nm Open PDK、Yosys / OpenROAD ベースの自動配置配線フロー OpenLane、Efabless が運用する Open MPW シャトルを基盤として開発する。論理シミュレーション (iverilog)、回路シミュレーション (ngspice / LTspice)、レイアウト編集 (Magic) も含め、設計フローのすべてがオープンソースまたは無償ツールで構成される。

オープンソースの CPU IP (RISC-V) は数百件規模で公開されている一方、オープンソースで完全に検証可能な RFID IC はまだ公開されていない。chip-01 は、設計データ・テストベンチ・SPICE モデルを段階的に公開することを前提に設計を進めている。

PDK
SkyWater sky130130 nm CMOS · Apache 2.0
FLOW
OpenLane 2.xRTL → GDSII 自動配置配線
SIM
iverilog · ngspice · LTspice論理・回路シミュレーション
FAB
Efabless Open MPW無償シリコン製造シャトル(Google sponsored)
§07 · Roadmap

5 フェーズ。
Simulation → Silicon → UHF.

Five phases from simulation to silicon to UHF + HIDF.

PHASE 012026 · NOW

PC 上のシミュレーション

アナログブロック (整流・LDO・クロック・復調) を LTspice / ngspice で、デジタル FSM を iverilog で検証する。Exit 条件は 整流出力 ≥ 1.5 V、ISO 14443-A ハンドシェイクのテストベンチ完全パス、アナログ-デジタル間インターフェース仕様の確定。

LTspice / ngspice iverilog
PHASE 022026 · H2

ディスクリート + FPGA プロトタイプ

Schottky × 4 段の整流回路、MCP1700 LDO、74HC14 / 74HC4020 クロック生成をブレッドボードで構成し、デジタル FSM は FPGA (Lattice iCE40 / Xilinx Spartan-7) で実装。市販 NFC リーダーから REQA → ATQA → UID 応答までを実機で検証する。

Breadboard FPGA
PHASE 032026 Q4 — 2027 Q1

chip-01 · GDSII テープアウト

アナログブロックは Magic VLSI で手描きレイアウト、デジタルは OpenLane 自動フロー。トップレベル統合で DRC / LVS を 0 エラー化し、Efabless Open MPW に提出。エンジニアリングサンプル受領の目標時期は 2026 Q4。

Magic VLSI Efabless MPW
PHASE 042027

独立検証環境 · 自社 NFC リーダー

STM32L4 ベースの 13.56 MHz NFC リーダーを開発し、chip-01 と市販タグの読取性能を同一条件で比較する。リンクバジェット、感度、FDT、フィールド強度依存性を実測し、シミュレーションとの乖離を特定する。

STM32L4 Custom PCB
PHASE 052027 — 2028+

chip-uhf · HIDF との共設計

EPC Gen2v3 準拠の UHF IC を新規設計し、HIDF 薄膜・スロット型アンテナ・高インピーダンス IC を統合。読取感度の初期目標は −24 dBm、長期目標は 22 nm FD-SOI 移行で −28 dBm 級。HIDF は εr ≥ 15–50 @ 3 mm を最初の到達点とし、εr ≥ 300 @ 0.5 mm は v7 以降の長期課題として分離する。

EPC Gen2v3 HIDF
各フェーズの Gate criteria
§08 · Targets

設計目標値。

Design targets — power, area, cost, range.

power consumption ≤ 30μW

パッシブ動作 (無電池)

アナログ ≤ 20 μW + デジタル ≤ 10 μW。100 μW 級のアンテナハーベストから、整流損・LDO レギュレーション損を差し引いた実効値。

die area ≤ 1mm²

SkyWater 130 nm

1 mm × 1 mm を目標とするフロアプラン。アナログブロックを Magic VLSI で手描きし、デジタルは OpenLane 自動配置配線。

manufacturing cost ~ 4JPY

chip-uhf + HIDF 統合タグ

既存金属対応タグの製造原価 26 円に対して、HIDF + 導電ポリマーアンテナ + 熱圧着実装による短工程化を前提とした設計目標値。

read sensitivity −24dBm

chip-uhf 初期目標

EPC Gen2v3 / 920 MHz 帯。Impinj M700 系 (2019, −24 dBm) と同等水準。長期目標は 22 nm FD-SOI への移行による −28 dBm 級。

§09 · Whitepaper

技術詳細はホワイトペーパーに。

Each chapter has a technical counterpart in the whitepaper.

§03 · Architecture

7 ブロック構成

アンテナ / 整流 / LDO / クロック抽出 / POR / 復調 / デジタル FSM / 変調 — 各ブロックの役割と相互接続をブロックダイアグラムで提示する。

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§05 · Protocol

ISO 14443-A ハンドシェイク

REQA (0x26) → ATQA (0x0400) → ANTICOLLISION → SELECT → SAK (0x08) のシーケンス、CRC_A 多項式、BCC、FDT を含む規格定数の定義。

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§04 · Power

電力 / リンクバジェット

HF 帯の 100 μW ハーベストから 30 μW 動作までの電力収支、UHF 帯 920 MHz における自由空間リンクバジェットと −24 dBm 設計目標の根拠。

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§07 · Material

HIDF の設計式

d × √εr ≥ λ₀ / 40 の波長短縮不等式、Lichtenecker 対数混合則による複合誘電率推定、BaTiO₃ / TiO₂ を用いた段階的 εr 目標値。

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§06 · RTL

Verilog モジュール一覧

rfid_responder_iso.v / modified_miller_decoder.v / manchester_encoder.v / crc_a.v など、デジタルコア各モジュールの責務、実装状況、テストベンチ網羅率。

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§11 · Engineering Honesty

未解決の設計課題

プロトコル非準拠箇所、手巻きコイル Q 値、電力収支の現実値、rx_valid 信号未定義など、社内ドキュメントが指摘する 8 件の課題を一次出典のまま公開する。

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— Partnership · 2026

Partnerships
& collaboration.

タグ / インレイメーカー、リーダーメーカー、エンドユーザー、研究機関との開発パートナーシップを募集しています。NDA 締結後に、詳細スペック・進捗・サンプル提供条件を個別共有します。

Whitepaper contact@zerotry.co.jp